関東以西に行ったとき、「山形から来た」と言って相手が「???」となっていても、「天童から来た」と言えば「あぁ!将棋ね!」と返ってくるほど、天童と将棋は切っても切れない関係にあります。その天童の将棋を背負っていらっしゃる日本将棋連盟天童支部が、会員数で日本一に返り咲きました。
日本将棋連盟天童支部には最盛期で273人が在籍していましたが、高齢化や将棋を指す人が減ってきたことで、右肩下がりで推移していました。平成25年度で支部設立50周年を迎えることから、村岡良雄(むらおか・よしお)支部長が「なんとかしないと!」と関係各所に呼びかけをした結果、平成25年12月25日現在で209人と、再び日本一の会員数を達成することができました。
しかし、日本将棋連盟天童支部には長年の悩みが…。「将棋の聖地」としてこれだけ知られている天童からは、これまでプロ棋士が誕生していません。将棋教室などで腕を磨いてきても、中学、高校と進むに連れて、次第次第に将棋から離れてしまうようです。天童市、そして日本将棋連盟天童支部の次の目標は、『名実』共に「将棋の聖地」となることです。
将棋駒の生産量日本一の天童市に拠点を置く日本将棋連盟天童支部(村岡良雄支部長)の会員数が209人となり、全国約670支部の中で最多となった。設立50周年に合わせ、6年ぶりの首位奪還を目指して会員増強に取り組んできた。二つの日本一を誇る同支部だが、プロ棋士の輩出は未達成のまま。名実とも「将棋のまち」になるべく、関係者の奮闘が続いている。
日本将棋連盟(東京都)によると、昨年12月25日現在の支部別会員数は1位が天童支部で、茨城県常南支部(206人)千葉県東葛支部(200人)京都梅津支部(141人)と続く。
天童支部の会員数は1997年から11年連続で日本一を達成し、ピーク時は273人(02年)を数えた。その後、競技人口の減少と高齢化で会員が減り、13年4月末時点では162人で3位に甘んじていた。07年以来の首位奪還を目指し、村岡支部長らが市議、市職員、企業、団体に加入を呼び掛け、将棋教室に通う児童数の増加などで約50人増につながった。
村岡支部長は「支部設立50年で日本一に返り咲くことができた。多くの協力に感謝したい」と喜ぶ一方で「これだけの歴史と会員数でプロ棋士が一人も出ていないのは…」とこぼす。
プロ棋士を目指すには幼少期からの鍛錬が重要で、力のある指導者も必要。同支部の少年少女将棋教室には現在、県内一円の児童約50人が通い腕を磨いているが、指導に当たる大泉義美同支部会長(68)は「小学生で力をつけても、部活動が始まる中学生になると将棋から離れてしまう」と指摘する。本人の覚悟と保護者の理解が不可欠のようで、指導面でも天童市の助成でプロ棋士を毎月1回招いているが、十分な回数ではないという。
本県出身のプロ棋士はこれまで3人のみ。同支部にとって大きな目標だが、村岡支部長は「一つ目標に向かって力を合わせれば実現できる。その動きが天童の将棋を盛り上げる」と意気込む。
同支部は3月、支部設立50周年記念式典を行う。
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