新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために宴会等を自粛するよう声掛けされたことから、天童温泉をはじめ山形県内の温泉旅館はどこも厳しい状況に置かれています。この対応策について話し合うため、山形県旅館ホテル生活衛生同業組合は3月13日にかみのやま温泉「日本の宿 古窯」で説明会を開催しました。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府は2月27日(木)午後6時過ぎから総理大臣官邸で新型コロナウイルス対策本部会を開き、3月2日(月)から全国すべての小中高校で春休みに入るまで臨時休校にするよう要請しました。また、卒業式を行う場合には、感染防止のための措置や必要最小限の人数で行うよう求めたことから、卒業式につきものの謝恩会も中止になり、天童温泉はかなりの打撃を受けています。
新型コロナウイルス感染症の全国的な拡大で宴会や旅行者が激減し、県内の宿泊業に深刻な影響が出ている。こうした事態を受け、県旅館ホテル生活衛生同業組合(理事長・佐藤信幸古窯会長)は13日、無利子融資や雇用調整助成金など支援制度の説明会を上山市の古窯で開いた。
県内の旅館ホテルの経営者、責任者ら約100人が参加。事業停止を考え始めている経営者もいるといい、佐藤理事長はあいさつで「組合として使いやすい支援策ができるように行政に働き掛ける。皆さんには、あきらめないで、生き残ろうという強い気持ちを持ってほしい」と訴えた。
続いて、従業員への休業手当などの一部が補助される雇用調整助成金の特例措置や、無利子融資、特別貸付などの制度について、社会保険労務士、県、日本政策金融公庫の担当者が説明した。今後の活用を見据えて参加した蔵王温泉の旅館支配人は「終息の見通しがつかないのが不安。せめてゴールデンウイークの予約がキャンセルにならないでほしい」と話した。
経営者からは切実な声が聞かれる。天童市の旅館では、政府によるイベントの自粛要請があった2月末以降、キャンセルが相次ぎ、売り上げは前年より7割程度も減る見通しだ。謝恩会、歓送迎会など日帰りの宴会はほぼ全滅、春休みに合わせた卒業旅行や学習塾の合宿などもなくなった。今は施設の半分を休館とし、その分の従業員も休ませている。社長は従業員に対し、このままの状況が4月以降も続けば、給与カットもあり得るかもしれないと伝えているという。
金融機関には返済計画について柔軟に対応してもらい、県などの無利子融資制度についても「とてもありがたい」とする。ただ、この状況が長引けば、こうした支援策では間に合わない。社長は「雇用調整助成金への上乗せや固定資産税などの支払い猶予などもあればありがたい」と話した。
一方、蔵王温泉の旅館経営者は「3月の売り上げは前年の半分に届かない。県などの融資制度を活用するが、当座をしのぐための借入金で、長引いたらどうなるかと不安だ」と吐露する。「小規模なところは従業員を休ませて休業手当を支払うのも難しい。見通しがつかず、東日本大震災の時よりも深刻だ」と、早期の終息を願った。
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