山形県天童市の出羽桜酒造 株式会社が、新型コロナウイルスの影響でテイクアウト事業を始めた飲食店向けの日本酒「#エールSAKE」「#自酒トレ」の販売を始めました。これは「#エールSAKEプロジェクト第1弾」と銘打って行われたもので、飲食店が在庫として持っているお酒を小売りするために必要な「期限付酒類小売業免許」の申請支援にも取り組んでいます。
出羽桜「#エールSAKE」と「#自酒トレ」
厳しい経営下にある県内飲食店の間で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い「期限付酒類小売業免許」を取得する動きが出ている。6カ月の期限付きだが申請から1週間程度で迅速に取得でき、飲食店も持ち帰り用に酒を販売できるようになる。飲食店は「料理とセットで酒の持ち帰り販売ができ、酒販店、酒蔵も含めて経済循環できる」とする。専用の酒を発売した酒蔵もある。
日本酒、ワイン、ビールなど酒類の販売は本来、酒税法の規定で「酒類小売業免許」が必要で、なければ店内飲用は提供できても持ち帰り用は販売できない。外食自粛が広がり飲食店の売り上げが激減した現状を受け、国税庁は今月9日、飲食店が酒類を持ち帰り販売できる期限付き免許を設けた。
仙台国税局によると、件数は集計してないが、県内からも相当の申請が税務署に寄せられている。申請は6月末まで受け付け、免許期限は付与から6カ月だ。
JR山形駅前に店を構える「酒菜一」は県産酒を中心に、一升瓶150~160本の在庫を抱える。4月上旬から休業しており、酒の鮮度を保つためには冷蔵庫の中といえども長く保管できない。酒井貞昭社長は「酒が買われることで飲食店はもちろん、酒販店、酒蔵も活性化する」と考え、13日に山形税務署に免許を申請し、1週間後の20日に免許を取得した。
ゴールデンウイーク頃から厳選料理を詰め合わせたお重と共に配達販売する。酒の小分け用に180ミリリットル入り、300ミリリットル入りの瓶を用意し、店内での提供価格より安価にする。酒井社長は「本物の酒、料理を家庭で味わっていただき、新型コロナが終息すれば店を訪れてほしい」と続けた。
出羽桜酒造(天童市)は飲食店の持ち帰り用に、高品質の純米大吟醸酒「#エールSAKE」と、定番の辛口普通酒「#自酒トレ」を発売した。共に300ミリリットル入りで、持ち帰りに手頃な容量とした。純米大吟醸酒は本来、高価だが、#エールSAKEは小売価格が千円前後になるように卸値を抑えた。
商品開発は通常半年ほどかけるが、今回は迅速に商品化。ラベルに飲食店への応援メッセージを記し、定期的に変える。仲野賢(さかし)営業部長は「支えていただいている飲食店を応援したい」と話した。「エールSAKEプロジェクト」と題し、趣旨に賛同する酒蔵に「#エールSAKE」名での持ち帰り用酒の販売を呼び掛けている。
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