山形新幹線の福島-米沢間のトンネル新設に向けて、山形県が2200万円の調査費を予算化することが明らかになりました。どういうルートでトンネルを掘るか、どれくらい工事費がかかるかを調べるもので、工事の前段として必要不可欠な仕事です。新しいトンネルが実現すれば、大雨や大雪による運休がなくなることがや、将来的にフル規格の新幹線に対応できることが期待されます。
県は17日、山形新幹線の福島県境部のトンネル新設に関する調査費2200万円(限度額)を債務負担行為として盛り込んだ2021年度一般会計補正予算案を県議会9月定例会に提案した。JR東日本はトンネル新設を大雪や豪雨などで相次ぐ運休・遅延対策とし、県は将来のフル規格新幹線整備につながると判断した。17年にJR東日本が調査結果を明らかにしてから4年を経て、実現に向けて動きだした。
JR東日本は福島県境部の抜本的な防災対策に関し、15年度から調査を実施。17年度に結果をまとめた。県境部のトンネル新設(延長23キロ)は、概算事業費が1500億円、工期が着手から約15年間と試算した。フル規格新幹線に対応可能なトンネル断面に掘削範囲を広げる場合、120億円程度が加算になる。
工期の約15年間は着工からの期間で、環境影響評価などは含まれない。トンネル化は運休・遅延の大幅減と山形新幹線の安定性の飛躍的な向上につながり、所要時間の10分強の短縮が可能になるとみられている。
県はトンネル新設に関し、JR東日本と協議を続けてきた。県によると、JR東日本は今回、新たな提案を示した。急カーブを緩やかな曲線に変え、直線に近いルートを想定することで、東北新幹線などのフル規格新幹線仕様と同じ平均時速200キロ以上の走行を可能とするなどとした。トンネル内で減速の必要がなくなり、フル規格実現を目指す県の意向と合致した。
トンネル新設に関し、県が予算を計上するのは初めてで、具体的なルートを検討するために必要な地権者調査などが目的。事業費はJR東日本と折半し、県は2200万円を限度額とする債務負担行為を設定した。補正予算案が可決されれば、両者が共同して本年度中にも調査準備に入る見通しとなっている。
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