将棋のタイトル戦で史上初の八冠達成を成し遂げた藤井聡太(ふじいそうた)八冠を祝して、天童駅前の看板(天童市将棋資料館と天童将棋交流室の間)が翌10月12日に刷新されました。将棋のタイトル戦は2017年に7つから8つに増えています。
「史上初 八冠制覇!! 藤井聡太 八冠」に刷新されたJR天童駅前の看板
将棋の藤井聡太七冠が第71期王座戦を制し、八大タイトル戦となってから初の全冠制覇を達成してから一夜明けた12日、天童市の将棋教室で学ぶ子どもたちは「いつか自分も」と憧れを一層強くした。プロ棋士を目指し、しのぎを削る県内の中学生棋士たちは「すごいとしか言えない」と目を丸くした。
「自分もいつか藤井八冠と対局したい」。将棋のまちからプロ棋士を輩出しようと、天童市が2019年に始めた「天童プロ棋士育成教室」に通う2期生の茅野貴裕君(12)=山形市山形東小6年=は大一番に刺激を受けた様子。1期生で日本将棋連盟のプロ棋士養成機関・奨励会に今年合格した天童市天童一中1年の高橋遥輝(はるき)さん(12)の弟陽向(ひなた)君(11)=天童市天童南部小5年=は「終盤に粘り強さを発揮する藤井八冠の棋風に憧れる。将来は名人や竜王のタイトルを撮れるようなプロ棋士になりたい」と意気込んだ。
今年の県将棋最強戦を制した山形市山形一中2年の三浦寛人さん(13)は偉業に「すごいとした言いようがない」。人工知能(AI)の戦況分析では終盤まで藤井八冠が防戦一方だっただけに「最後まで絶対に諦めない姿が藤井さんらしかった」と振り返った。
奨励会で昨年9月から腕を磨く東根市東根一中1年の黒沼亮人(ゆきと)さん(13)は、快挙達成直後の言葉が印象深いといい「相手をたたえる姿に一人の人間として憧れる」と感心した。高橋さんは「21歳という若さで八大タイトルを独占するなんてすごい」と目を輝かせ、強豪ひしめく奨励会での戦いに向け「強い棋士の手筋を勉強し、どんどん上に行けるよう頑張りたい」と意欲をのぞかせた。
史上初の全八冠独占を11日に果たした藤井聡太新王座。昨年4月に天童市で開かれた人間将棋に出演した藤井八冠の偉業達成を、当時接した本県関係者がたたえた。
「最終盤に大逆転。感動した」。日本将棋連盟県支部連合会長の大泉義美さん(77)は感極まり、声を上ずらせるように語った。昨年の人間将棋の際、藤井八冠と控室で言葉を交わしており、買ってもおごらず、深々と頭を下げて先輩(永瀬拓矢前王座)に敬意を示した姿に感銘を受けたという。「次に目指すは永世八冠。『やってのけるかも』と思わせてくれるすごみがある」と興奮を隠せない様子だった。
天童市商工観光課の村山秀和課長(54)は人間将棋の際、藤井八冠に同行した。指し手ごとに武者言葉を会話しながら進める人間将棋で、完璧に演じようと準備する姿が記憶に残っている。村山課長は「令和を代表する大棋士誕生を祝福したい。どれほd強さを維持し、その牙城を誰が崩すのか。将棋界が盛り上がる」と喜んだ。
熱戦に見入っていたという県将棋駒協同組合の中島正晴理事長(62)は「大舞台でも、タイトルがかかっていない対局と同じような落ち着き払った姿だった」。デビューから無敗で最多29連勝を成し遂げた2017年以降、競技用の駒の注文は右肩上がりといい「さらにブームに拍車が掛かるのでは」と期待した。
前の日へ... | 今月の見出しへ... | 次の日へ... |