市川昭男(いちかわ・あきお)山形市長は、9月8日に行われた市議会定例会・一般質問のなかで、山形市、天童市、上山市、山辺町、中山町の3市2町で協議を進めている「定住自立圏構想」を使って山辺町と中山町への常備消防を整備する方針だ、と表明しました。これは加藤賢一(かとう・けんいち)市議会議員の質問に答えたもので、市川市長は「村山地域で消防広域化計画の検討が行われているが、早期の実現は厳しい。定住自立圏構想の中で、両町での常備消防整備の実現を図っていきたい」などと答弁しました。
山辺町と中山町は、東北地方で唯一、常備消防組織が整備されていない自治体です。119番通報は町役場で受け付けていますが、救急搬送が必要な場合には、事務委託規約に基づいて町が山形市消防本部に依頼しています。消防業務は主に地元消防団が担当していますが、人命救助など高度な技術が必要な場合には、同じように山形市消防本部に応援を要請しています。
今後の協議や具体的な内容について、市川市長は「119番通報を山形市消防本部で直接受け付けることは、すぐに実行できるということで両町長と話をしている。出張所の新設や管轄地域をどうするかなど、具体的なものについては、将来的に協議をしたい」としています。
定住自立圏構想について、総務省は次のように説明しています。
「中心市」の都市機能と「周辺市町村」の農林水産業、自然環境、歴史、文化など、それぞれの魅力を活用して、NPOや企業といった民間の担い手を含め、相互に役割分担し、連携・協力することにより、地域住民のいのちと暮らしを守るため圏域全体で必要な生活機能を確保し、地方圏への人口定住を促進する政策です。
町や村のレベルであればこのような考え方は納得できますが、人口6万人を超える天童市にはまったくなじまないと思います。天童市を含めた3市2町による定住自立圏構想に当てはめると、総合病院やショッピングセンターなどの「都市機能」は山形市へ集中し、天童市を含めたほかの自治体は「農林水産業、自然環境、歴史、文化など、それぞれの魅力を活用」に集中することになります。
まもなく、芳賀土地区画整理事業が本格的に工事をスタートし、平成23年度からは保留地(土地)の販売が始まります。10年ほど停滞気味だった天童市の勢いも、やっとまた盛り返してくるときです。「天童市が賛成しないから山辺・中山に消防機能を整備できないんだ」と主張されかねない今回の事態に、「ちょっとやり方が卑怯なんじゃないの?!」と思わずにはいられません。
- (関連ページ)
- ■天童のニュース:広域合併(周辺市町の動き)
- http://www.ikechang.com/news/news720.htm
- ■総務省:定住自立圏構想(外部サイト)
- http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/teizyu/index.html
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