山形市の市川昭男(いちかわ・あきお)市長が2月21日の山形市議会定例会で発表した新スタジアム建設計画について、2月26日、山本信治(やまもと・しんじ)天童市長が緊急記者会見を開きました。
その様子について、新聞各社が報じた内容を紹介します。
河北新報:山形市サッカースタジアム構想 天童市長反対の意向
読売新聞:山形市の新スタジアム 天童市長「大変困惑」
山形新聞:天童市長 市民の不安大きい
朝日新聞:山形市のモンテ本拠地構想 「唐突だ」天童に動揺
話を総合すると、次のようにまとめられそうです。
サッカーJ2山形の本拠地誘致を視野に入れた山形市の全天候型スタジアム構想を受け、現在の本拠地・NDソフトスタジアム山形(県総合運動公園陸上競技場)がある天童市の山本信治市長は26日、臨時の記者会見を開いた。山本市長は「困惑している」と不快感を示し、本拠地移転に反対の意向を強調した。一方、山形市の市川昭男市長は、市議会であらためて構想への理解を求めた。
会見で山本市長は「唐突な話で大変困惑している。市民からも『大変なことになった』『(本拠地が)天童に残るようにしてほしい』と声を掛けられた。市民は心配している」と述べた。
市川市長が市議会3月定例会で新スタジアム構想を表明したのは21日。山本市長には同日早朝、市川市長から電話があり、構想を初めて伝えられたという。山本市長は「市川市長に『大変びっくりした』と答えた」と明かした。
山本市長は、市民が一丸となってJ2山形を応援してきた点や、チームを運営する県スポーツ振興21世紀協会に多額の財政援助をしてきた点も強調し、「最も影響するのは、天童市民の気持ちだ。(Jリーグが)秋春制になっても、さまざまな工夫をしながら本拠地利用を継続してほしい」と語った。
天童市はJR東日本と共同で、NDスタジアムに近い奥羽線の天童−高擶(たかたま)間に、新駅を設置する事業を2011年度から進めている。本拠地存続を前提とした事業で、13年度予算案にも、新駅関連の設計費など4000万円を計上している。
山本市長は「(新駅ができれば)スタジアムの交通の利便性は高まる」と述べた。
これに対し、山形市の市川昭男市長は26日の市議会一般質問で、「Jリーグの秋春制移行が検討されており、新たに本拠地となるスタジアムの整備が選択肢として出てくる。市内に整備することを県に提言する」と述べた。
議会終了後、市川市長は報道陣に「いつ県に提言するかは決まっていない。中身はこれからだ」と話した。
山形市がサッカーJ2・モンテディオ山形の本拠地移転を視野に入れた新サッカースタジアム建設構想を打ち上げたことについて、NDソフトスタジアム山形を抱える天童市の山本信治市長は26日、今後もモンテディオの本拠地を同市に置くよう県や県スポーツ振興21世紀協会と協議していく方針を示した。
この日、臨時の記者会見を開いた山本市長は、山形市の構想について「唐突な話で大変困惑している。市民から多数、心配する声が寄せられている。現時点で山形市から情報はない」と話した。
一方、山形市の市川昭男市長は同日の市議会本会議終了後、「まずは手を挙げさせてもらったということ。天童市とどう話し合うかは、これから考えたい」と記者団に述べた。
山形市によるモンテディオ山形の本拠地スタジアム誘致構想が物議を醸しているが、市川昭男山形市長は26日の市議会本会議で、あらためて強い意欲を示した。一方、天童市の山本信治市長は同日、同市にある県総合運動公園(NDソフトスタジアム山形)が今後もチームの本拠として利用されるよう、関係機関と協議を進めていく方針を明らかにした。
市川山形市長は、本会議の一般質問で問われ、「公の場で言ったこと。積極的に誘致を行う」と述べた。Jリーグの秋春制移行の可能性についても触れ「新たに本拠地となるスタジアムを整備する選択肢も出てくると考え、その際は山形市内への整備を提言していく」とした。建設場所については、質問した議員が「JRを巻き込める立地の山形駅西口に建設を検討しては」と意見を出したのに対し、「現在、場所は限定していない」とした。
市川市長は21日、市長選で公約に掲げたドーム型競技場の建設構想を一時凍結することを表明。モンテ新本拠地として、冬季も試合ができるスタジアムを県などと共同で建設したいとの考えを明らかにした。
山本天童市長は、市役所で記者会見を開き、見解を示した。市川山形市長の表明以降、公務や市民との対話の中で“本拠地問題”が必ず話題になるといい、「『天童を本拠地のままに』という意見がほとんど。各地区に自発的に発足した応援隊も心配しており、『手伝えることはないか』との相談もある。市民の不安は大きく、思いは切実」と語った。
また、同公園に近い芳賀地区の宅地分譲推進や、同地区内に新設が検討されているJR新駅設置に向け、チームの存在が“売り”の1つになっている点や、観光などの経済効果を心配しつつ、「官民一体でチームを支援してきたまち。将来的にも(天童が)本拠地として利用されるよう関係機関に相談、お願いしていく」とした。
市川市長の表明の仕方や段取りについては「困惑とともに、唐突で動揺した」としながらも、「それぞれの事情がある」と語った。
「あまりにも唐突だ」−。山形市の市川昭男市長が21日に表明したサッカーJ2モンテディオ山形の本拠地となるスタジアム建設構想に対し、現本拠地の天童市に戸惑いと動揺が広がっている。山本信治市長は26日、緊急会見を開き、「今後も本拠地として利用されるようにしたい」と強調。地元には経済的な打撃を心配する声も出ている。
会見での説明によると、山本市長が構想を知ったのは発表当日の午前9時ごろ。市川市長から電話があり、1時間後の議会で表明すると告げられたという。
「なんなんだろうということ。唐突で動揺した。『驚いている』と伝えた」
その後、山形市側からの説明はないという。構想が報じられてから、多くの市民から心配する声が寄せられているとして、山本市長は「天童での試合を続けてほしいというのは、市民の切実な願いだ」と訴えた。
天童市の県総合運動公園を本拠としてきたモンテは地域づくりととも密接にかかわっており、芳賀地区の開発に合わせ、同公園から約900メートルの距離にJRの新駅を設置する構想も進んでいる。温泉街や商店街への経済効果も大きく、地元経済界からは「地域経済を考えると、天童に残ってほしい」との声が出ている。
市内6地区にある住民のサポーター団体からも戸惑いの声が上がっている。
長岡モンテディオサポーターズクラブ発起人の五十嵐安正さん(68歳)は「提案はあまりにも唐突」と山形市を批判する。試合日の前後3日間にモンテの旗を掲げるなど仲間たちとホームタウンを盛り上げてきた五十嵐さんは「どこに移ってもモンテを応援するのは変わらないが、これまで天童で積み上げてきたものもある。その気持ちを酌んでほしい」。同クラブの柴崎正和会長(63歳)は「本当に計画が進むのなら、署名活動などを起こさなければと思っている」と話した。
干布モンテ応援隊の蜂谷敏会長(64歳)は「今よりいい環境がつくれるのなら反対はしない。ただ、練習スペースや駐車場もセットに考えて、ここよりいい場所があるのか。山形市の提案は唐突だし、具体性がない」と疑問を呈した。
そのうえで「全天候型のサッカースタジアムはみんなの願い。山形市が一石を投じたことには意義があると思う。じっくり議論を積み上げていってほしい」と話した。
山形市議会の一般質問で26日、市川昭男市長が打ち出したモンテディオ山形のスタジアム建設構想について、野党系の斎藤武弘議員(自民党新翔会)が「市長の決断を評価したい」と述べ、誘致を積極的に進めるよう求めた。市川市長は当然積極的に進める姿勢でいる」と応じた。
市議会内には、県庁所在地の市にJリーグや野球の公式戦ができる会場がないことへの不満が根強くあり、今回の市長の方針転換に好意的な反応が野党側にも広がっている。
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