全国から注目を浴びている天童市の「ふるさと納税」が、あらためて地元紙で取り上げられました。12月に入っても申し込みが好調で、4億円を突破する勢いだということです。
任意の自治体に寄付をすると個人住民税などが軽減される「ふるさと納税」。本年度からこの制度に力を入れた天童市の人気は高まり、一気に全国区に躍り出た。PR力が弱いとされる同市にとって面目躍如となった。
2014年度一般会計予算を審議する3月市議会定例会。市はふるさと納税の返礼品に農産物、特産品を採用するため予算100万円を計上。議員から寄付の目標数を問われ、執行部は「100件程度」と答えた。13年度の実績が5件、計66万円と聞けば、目標達成には懐疑的だった。
しかし、ふたを開けてみると、誰もが結果に驚いた。11月末現在の実績は申請が約3万1千件、寄付額は計約3億6千万円。全国のふるさと納税を紹介するポータルサイト「ふるさとチョイス」で、11月の自治体別の閲覧回数は天童市が約7万7300件で全国9位、東北では1位となった。12月の申請も好調で、寄付額は約4億円を超える見込みだ。
単純な比較になるが、年商4億円の通信販売会社に肩を並べた形だ。返礼品は果物、コメ、牛肉などで、寄付の半額相当の品を贈答している。実質的な経済効果は商品購入費などで約2億5千万の見込み。申請者にプレゼントする将棋駒の根付けは発注額が約4千万円となり、市内の将棋駒の年間売上高が約1億2千万円の中で、地場産業への寄与も大きかった。
興味深いデータもある。寄付の申請者を分類すると▽天童市出身または居住経験がある人0.9%▽親戚、知人がいる人4.6%▽観光で訪れたことがある人16.8%―だった。ふるさと納税の趣旨は文字通り故郷を応援することだが、返礼品に魅力を感じて寄付した人が65.6%に上っているのが実態だ。
今回の成果は地域の特産品の魅力が全国からの目で再確認できたといえる。県内の市町村にはそれぞれ素晴らしい品があり、全体で盛り上がってほしい。
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