天童市と山形市の境を東西に流れる立谷川(たちやがわ)で、氷河期の痕跡と見られる針葉樹の大規模な埋没林が発見されました。地質学が専門の山野井徹(やまのい とおる)山形大学名誉教授は、保存の必要性を訴えています。
発見された場所は、山形電波工業高等学校から東に400メートル、国道13号にかかる天童大橋の真下から上流にかけての区間で、天童市の行政区域に入っています。えぐられて下がった河床の部分から、真っ黒い木の幹や切り株のようなものが露出しています。
今後の天候等により水量が変わると流出してしまう可能性がありますので、興味のある方は、長靴を履いて見に行ってみて下さい。砂利が崩れて足元が不安定なので、できればヘルメット持参をオススメします。
国道13号にかかる天童大橋から上流を東(上流部)から西(下流部)に望む
川の一番低いところに、木の化石のようなものが見られます
天童大橋から上流に向かうと、川の所々に化石のような樹木が横たわっています
水が流れているところにも、多数、真っ黒い樹木が見られます
真っ黒い針葉樹の切り株のようなものも、河床に見られます
柱のように横たわった幹も見られます
山形、天童市境を流れる立谷川で約1万8千年前の埋没林が見つかったことが14日までに、山形大の山野井徹名誉教授(地質学)の調査で分かった。大規模な埋没林の発見は県内で4例目といい、保存の必要性を訴える。
場所は国道13号の天童大橋の直下から上流にかけての約200メートル区間。河川内や岸辺にトウヒ(エゾマツの仲間)、ツガ、カラマツなど針葉樹の幹や実の炭化した化石が多数見つかった。長さ10メートルほどの流木も数本確認された。
放射性炭素年代法で測定したところ、氷河期に当たる「新生代第四紀更新世」の期間で1万8585〜1万8296年前と判明した。当時の大規模な土石流などの洪水で、森林全体が地下に密閉され、腐食せずにすんだらしい。
長年にわたる環境変化や浸食作用により、現在の川床が削られて洪水礫(れき)層とともに埋没林が現れた。今年8月、天童市内の男性から「川床に化石のようなものがある」と情報が寄せられ、山野井名誉教授らが調査を進めていた。
山野井名誉教授は「山形の大地の成り立ち、気候や環境が分かる貴重な発見」とする一方、埋没林は日々流失しており「そのまま残しておくのは無理としても、採取して調査し、後世に伝えていく必要がある」と県立博物館などに保存を働き掛けている。
山野井名誉教授によると、県内でこれまでに確認された埋没林は、いずれも須川流域の山形市谷柏、同市黒沢、上山市宮脇の3カ所。同じような樹種であるため、南山形地区は広大な針葉樹林帯だったと推定されるという。
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