天童市に初めての法律事務所が設立されたことが、地元紙の山形新聞で紹介されました。
天童市に初の法律事務所が開業した。相談業務に当たる菅原正史弁護士(34)は仙台からの移住者だ。裁判所職員や銀行員など異色の経歴を持ち、仕事と育児を両立するイクメンでもある。まだ看板を掲げていないが、相談は予想以上に寄せられる。「悩みを抱えている人に真摯に向き合いたい」と地域密着を目指す。
幼い頃、祖父母が経営するクリーニング店が暴力団とトラブルになった。「バッジがなくなった」と執拗に絡んでくる。警察は「民事不介入」と取り合ってくれない。子ども心に感じた理不尽さが弁護士を志す起点になった。
東北大法科大学院を終了後、司法試験を3回続けて落ちる「三振」でいったん受験資格を失った。仙台地裁に職員として勤めながら再起を期し、予備試験からのルートで2015年に悲願を果たす。31歳のことだ。失意の時に出会ったのが妻の理恵さん(35)。天童市職員となった理恵さんを追って、司法修習先は山形地裁を希望した。
弁護士資格を取得後に結婚し、天童に居を構えた。キャリアを積もうと銀行に在籍したことも。仙台の大手法律事務所通いを経て、今年3月に独立した。自分の名前を冠した事務所名にするのが普通だが、菅原弁護士いわく「市内初の先行者利益を発揮しないと」。大胆に「天童法律事務所」と名乗ることにした。
日本で弁護士の割合は3千人に1人で、天童なら20人いておかしくない。勝算はあったが「最初の3ヶ月ぐらいは依頼なしかな」という気でいた。開業してみると、週に2、3人が相談に来る。離婚や交通事故、労働問題のほかにも土地の境界、宗教絡みなどさまざま。30年来のトラブルもある。「自分の身に起きていることが法律的な問題なのかどうか分からない人も多いはず」と感じている。
長女愛理ちゃんは1歳1ヵ月。保育園に預けてはいるが、「1週間全部はかわいそう」と火、水曜は妻が帰る夕方まではアポイントを入れず育児に専念する。散歩したり、昼寝したり、合間に部屋の掃除もこなし、理恵さんから80点の高評価を受けている。
論語の「過ちを改むるにはばかることなかれ」がモットー。「失敗はしようがない。軌道修正できるかが大切だ」。これまでの経歴や挫折で得た教訓だ。
人間将棋で大忙しだった業者の手がすき、ようやく看板設置の運びとなった。「1人だと相談、依頼を受けられる数は決まってくる。セーブすることも大事」と力みはない。
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