山形県は、訪日外国人旅行者(インバウンド)が県内に長く滞在することを目的に、プロポーザル方式による業務委託「上質なナイトタイムエコノミーコンテンツ構築によるインバウンド誘客促進事業に係る企画提案」を公募しました。これは、内陸地方の「山形・天童」と庄内地方の「鶴岡・酒田」の2つをモデル地域にして、旅行企画の開発や商品化、オンラインでのプロモーションや販売促進キャンペーンを通して、山形県の知名度向上と誘客促進を図ることを目的としています。
提案書は7月1日までの期限で提出され、審査の結果、酒田市のThe Hidden Japan合同会社の提案が選ばれました。天童市には、天童温泉の若手旅館経営者たちによって設立された「株式会社DMC天童温泉」があり、こちらと連携して事業が進められるようです。
外国人旅行者の滞在を延ばすために欠かせない夜の観光。県は本年度、ナイトタイムエコノミーコンテンツ(夜の時間帯の観光体験プラン)の構築に取り組む。鶴岡・酒田、山形・天童の2地域をモデルに、県内の事業者が早朝を含めた複数のプランを造成し、順次インターネット上の旅行予約サイトなどで販売する。
昨年の本県への外国人旅行者数は延べ24万8929人で前年より30.6%伸びているが、地域に経済効果を波及させるためには滞在時間が短いのが課題。夜や早朝に体験できるプランを提案することで、宿泊の動機づけにする。県インバウンド・国際交流推進課によると、本年度は▽飲食店など20施設以上の参加▽6商品以上の造成▽送客数500人―を目標にする。ガイドブックを作成し、モデル地域の飲食店などを対象に受け入れ環境強化に向けたセミナーも開催する。事業費は約1450万円。
事業は訪日外国人旅行者向けのプロモーションやイベント企画などに取り組む「The Hidden Japan」(酒田市、山科沙織 代表)に委託する。同社は夜も含めた観光プランとして、鶴岡市立加茂水族館レストランでのにぎりずし体験などを既に実施している。
同社によると、居酒屋やバー、スナックなどをめぐるツアーや、市場での競り見学、地酒の飲み比べ、座禅や、朝からラーメンを楽しむ「朝ラー」などを素材にしたプランを検討している。ビジネスホテルに宿泊する人たちの中には、街ならではのローカルな飲食店に関心を持つ人が多く、通訳ガイド付きで数軒はしごするようなプランも想定している。
両地域の関係施設や、旅行商品の企画販売を手掛けるDMC天童温泉などと連携しながら商品づくりに取り組む。山科代表は「山形の魅力である食を生かしたい。旅行前に予約できるもの、旅行中に知って体験できるものと、さまざまなプランを用意したい」と話している。
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