新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、山形県天童市の天童温泉が4月16日(木)から5月10日(日)まで一斉休業に入ることが分かりました。1年のうちでも稼ぎ時なゴールデンウィークを休業することは経営的にとても大変なことだと思いますが、休業せずに営業を続ければ「あっ!開いてる」と「コロナ疎開」の観光客が押し寄せ、従業員が感染リスクにさらされることになってしまいます。どちらを選んでも困難な状況になってしまい、とにかく耐えるしかない、という状況になってしまっています。
県は16日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、飲食店や娯楽施設、宿泊施設、観光施設などに対し、25日~5月10日の休業や夜間営業自粛の要請を決めた。協力事業者には県の独自対策で一律10万円を支給する。対象の業界からは、おおむね理解を示しながらも「追加支援や補償はあるのか」「休業したらつぶれる」など、戸惑いや不安の声が上がった。
多くの旅館が4月いっぱい自主休業する天童温泉協同組合は16日、全旅館で5月10日までの休業を決めた。1~10日の予約は11館で計約2600人に上り、取り消しの手続きを進めている。山口敦史理事長は「最大の課題は売り上げがない中での雇用の維持。県などから雇用調整助成金の上乗せがあれば」と期待する。伊藤八右衛門・蔵王温泉観光協会長は支援額について「今年は雪不足でも打撃を受けた。もう少し上積みしてほしい」と訴える。
ホテルメトロポリタン山形(山形市)も対象期間中、200~300人ほどの予約がある。新沼悟取締役総支配人は「(県の方針に)しっかり協力したいが、まずは会社で対応を検討しなければ」と語る。佐藤信幸・県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長は「コロナを封じるには休業が最も良い」とした上で「(事業者にとっては)大変なことであり、今後も支援をお願いしたい」と話した。
県内の全パチンコ店で組織する県遊技業協同組合の井上静夫理事長は「組合員に営業時間短縮への協力を求めたい。一斉休業は難しい」と厳しい表情。会長を務めるマルイアミューズメント(山形市)が運営する六つのホールは既に終了時刻を1時間早めており、さらなる時短を検討する。井上理事長は「体力がある全国チェーンとは異なり、地元企業に『休め』と言うのは『つぶれろ』と言うのと同じ。知事には支援金よりも融資の道を開いてほしい」と切望した。
同市の居酒屋「たけまるの傳々(でんでん)」は4月に入りテークアウト中心の営業に切り替えた。店内飲食は1日1組に限っていたが、店内営業の自粛を決めた。昨年の店舗購入・改修で数千万円のローンを組んだ店主の新関雅人さん(48)は「不安はあるが、宅配など新しいシステムに取り組みたい」と前を向く。一律10万円の県の経営支援は「新システムの構築や持ち帰り用資材の用意に使える」と好意的に受け止める。
宮崎合名社(山形市)は米沢、東根両市で運営しているボウリング場を既に休業。10万円の支援には「ボウリング場のような大きい施設では全く足りない」。50万円を上限に店舗賃料の8割を補助する福岡市を例に「他の自治体を参考にして、しっかり補償してほしい」と続けた。
山形市の映画館フォーラム山形とソラリスの森合広支配人は「命が最優先」とし「要請には従うつもり。従業員の健康も考えれば、休業要請は少しほっとした部分もある」と胸の内を明かす。一方、「再開したときに映画が生活の一部としてあり続けられるよう、取り組みや発信はしていきたい」と語った。
前の日へ... | 今月の見出しへ... | 次の日へ... |