広島は6日、原爆投下から80年を迎えた。県内では、天童市で平和を希求する講演会や写真展が開かれ、犠牲者の鎮魂と恒久平和を願う鐘の音が山形市内に響いた。
天童市立図書館で、被爆者の思いを次世代に語り継ぐ「被爆体験伝承者」の上椙(うえすぎ)輝之さん(82)=広島市=が講演した。上椙さんは原爆で家族6人を亡くし、原爆孤児として生き抜いた故川本省三(しょうそう)さん(2022年に88歳で死去)の歩みを紹介し、反戦を訴えた。
川本さんは11歳の時、両親ときょうだい4人を失った。母の「やればできる」の言葉を思い出して再起し、食品会社社長を経て70歳で古里・広島に戻り、自らの体験を語り続けた。
講演で上椙さんは、川本さんが結婚を申し込んだ相手の親から「あの時、広島におったもんは放射能に汚染されとる」と断られるなど、差別に苦しんだと説明した。その上で「戦争は日常を壊し、原爆は一瞬で奪う。当たり前のことが当たり前にできる世の中を大切にしてほしい」という川本さんの言葉を紹介した。
市民団体・天童平和をつたえる会(瀬野幸男会長)などが主催し、約50人が聴講した。
「原爆写真展」が天童市立図書館で始まり、戦争の悲惨さを伝える写真や絵画など計約110点を紹介している。広島と長崎に投下された原爆、焦土と化した市街地などを捉えた写真が並ぶ。被爆者と広島県の高校生が共同制作した絵画は、やけどで変わり果てた人の姿や川にあふれた遺体など被爆の実相を描いている。15日まで。
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