天童市の東部にある山形県立天童高等学校について、天童市、天童市観光物産協会、天童商工会議所、JAてんどうが連名で天童高への観光学科の設置を山形県に要望しました。山形県内には35市町村すべてに温泉がありますが、天童温泉は市街地の真ん中にある珍しい温泉です。この温泉街を活用しながら、観光産業や地域振興で活躍できる人材を育成しよう、というのがこの要望の趣旨です。
山形県教育長からは、今後も継続して設置について意見交換していきたい、との回答がありました。
旅館やホテルなど観光産業で活躍する人材の育成に向け、山本信治天童市長と観光、商工団体の代表ら10人が20日、県庁を訪れ、菅野滋県教育長に対し、天童高(天童市)に観光学科の新設を求める要望書を手渡した。
山本市長、伊藤彰市観光物産協会長、地元選出の県議が趣旨を説明し、「観光振興の基本は人づくりであり、温泉街に近い天童高は学習環境にも恵まれている」「観光産業は裾野が広く、優れた人材の育成は他分野への波及も期待できる」などと述べた。
これに対し、菅野教育長は天童高が進学型の総合学科を設けている現況を示し「(観光学科は)既成の学科でないため、単位取得のカリキュラム作成や指導者の養成などが課題になる。雇用の受け皿も含め、地域の協力も必要であり、今後とも意見を交換していきたい」とした。要望書は市、市観光物産協会、天童商工会議所、JAてんどうの各代表者連名で提出した。
毎春恒例の「人間将棋」などのイベントで知られる天童市から観光業を担う若い人材を育成しようと、同市や市観光物産協会などが、県立天童高校に観光学科を新設する構想を打ち出した。20日には吉村知事宛てに要望書を提出しており、関係者は「市内はもちろん、県内全体の観光業の発展につなげていきたい」と意気込んでいる。
要望書は構想の理由について、「観光振興と地域の発展を担う人材の確保と育成が、喫緊の課題になっている」と説明。天童高校は天童温泉を始めとする観光施設に近く、「観光に関する授業や施設運営の実務、接客の心構えなどを体験学習するうえで良好な環境が備わっている」とした。
山本信治市長から要望書を受け取った県教委の菅野滋教育長は「地域のニーズを踏まえて、研究する」と応じた。
同協会によると、観光業界は近年、採用した従業員の離職率が上昇する傾向にあり、担い手育成の必要性が指摘されている。市や同協会は、新学科の設置により、観光都市の強みを生かした人材育成を図りつつ、すそ野の広い観光業を通じて、農業・商工業など他業種の振興や地域の活性化にもつなげたい考えだ。
天童高の生徒は、人間将棋で毎年、駒役を務めているほか、地元を訪れた観光客へのもてなしの一環として、JR天童駅で花の植栽を続けてきた経緯がある。同協会は、地域ぐるみの取り組みを進めることで、観光地としてのさらなるイメージアップも目指す。
県教委によると、県内では高畠高の総合学科が「観光基礎」「観光振興」の2科目を用意しているが、観光専門の学科を設置している高校はないという。
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