天童市の造り酒屋「水戸部酒造」が、ワイン醸造の発酵技術で造った新しい日本酒「まろら 山形正宗」を発売しました。洋食にも合う日本酒を造りたかったということから、山形県工業技術センターの協力も受けながら研究を続けてきたようです。
水戸部酒造(天童市、水戸部朝信社長)は、ワイン醸造で用いられる発酵技術で造った新タイプの日本酒「まろら 山形正宗」を発売した。洋食にも合うまろやかな酸味が特徴で、日本酒の可能性を広げ、新たなファンの掘り起しにもつなげたい考えだ。
酸味の強いリンゴ酸を乳酸菌の働きで分解するマロラクティック発酵(MLF)を採用した。ワインでは酸味が減ってまろやかな香味になるという。日本酒の多様化研究に県工業技術センターの協力を得て、この発酵技術を清酒醸造に応用した。
もろみを仕込む段階で醸造用乳酸菌を用い、低温発酵させるなどして、柔らかな味わいの日本酒に仕上げた。温めるとおいしくなる温旨酸(おんしさん)を多く含むため、燗(かん)にも適し、温度の違いによる味の変化も楽しめる。同センターによると、MLFを用いて仕込んだ日本酒の商品化は全国的に珍しいという。
同社は生ハムの輸入販売も手掛けており、「まろら」開発について水戸部社長は「生ハムやチーズなどの洋食にも合う日本酒を造りたかった」と話す。日本料理はもちろん、ローストビーフなどの肉料理とも相性がよく、「多彩な組み合わせを堪能してもらえそうだ」と期待する。
県産酒造好適米「出羽燦々(さんさん)」を100%使用。精米歩合は60%でアルコール度数は14度。今後も仕込みを継続する考えで、水戸部社長は「改良を重ねながら香味の方向性を模索していく」としている。
価格は720ミリリットルで1800円(税抜き)。問い合わせは同社023(653)2131。
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