ふるさと納税の制度を活用して地域振興に結び付けるノウハウを共有しようと、「ふるさと納税東北サミットin天童市」が天童ホテルで開催されました。これは、ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」を運営する株式会社トラストバンクと天童市が主催して行われたもので、東北各県はもとより、静岡県、大阪府からなど、合わせて80人ほどの自治体関係者が集まりました。
ふるさと納税ポータルサイトを運営する株式会社トラストバンクの須永珠代(すなが・たまよ)代表取締役社長は、ほかの地域と異なり東北地方では山形県内の自治体のホームページ閲覧数が突出しているため山形県以外の自治体はいまがチャンスということ、ふるさと納税の潜在的な市場規模が2兆4000億円を超えるのに対して実際の取引は141億円しかなく「ブーム」にすらなっていないこと、その自治体にお金が落ちないものは返礼品として取り扱うべきではないこと、などが基調講演で述べられました。
主催地の山形県天童市は、返礼品は天童市が全国シェア上位に入っている将棋駒やさくらんぼ、ラ・フランス、皇室御用達のインテリア等を選定したこと、雹害によるリンゴやラ・フランスをふるさと納税の返礼品として提供し農家を支援したこと、などが紹介されました。
岩手県北上市は、地域の高齢者が気兼ねなく好きな時に出かけられるようにとボランティア輸送を行っている「NPO法人くちない」への支援を、ふるさと納税の仕組みを使って取り組んでいることを紹介しました
岩手県西和賀町は、高齢化が進んでいる状況を打破するため6次産業化の進展のためにふるさと納税の仕組みを活用していること、クラウドファンディング(不特定多数からの資金調達)により災害復旧費用を公募していること、などが紹介されました。
福島県大玉村は、「ひと・もの・情報」の交流を図るためにふるさと納税の仕組みを活用していること、庁内にプロジェクトチームを作りふるさと納税の業務を始めたものの、通常業務との重複により担当者の負担が増加していること、などが紹介されました。
寄付金額全国トップの長崎県平戸市は、寄付者のことを最優先に考えたことでポイント制やカタログギフトのような仕組みにしたこと、ふるさと納税の制度があるうちに地元事業者を育成するべき、といった説明がありました。
講演会に続き「自治体ねるとん」と称して、名刺交換会が行われました。
会場入り口には、参加自治体の特産品(返礼品)が展示されました。
それぞれも持ち寄った返礼品は、順番に自治体の職員が紹介しました(写真は福島県大玉村の職員)。
静岡県清水町は、絵本作家・宮西達也(みやにし・たつや)さんのグッズセットを展示。おりしも、天童市美術館では「宮西達也ワンダーランド展」が7月20日まで開催中で、なにか縁を感じずにはいられません。
福島県大玉村は、日本酒「田植おどり」とそば焼酎「あだたら」を展示
新潟県長岡市は日本酒「吉野川」、かぐらなんばんみそとキュウリ、枝豆を展示
福島県只見町は、どぶろく「ぶなの泉」や乾燥させたワラビ、ウルイ、ゼンマイを展示
山形県酒田市は、鳥海高原のむヨーグルト、いちごやラ・フランスのヨーグルト、お米「つや姫」を展示
岩手県一関市は、リンゴとウメの果実酒を展示
岩手県北上市は、旬の野菜、ハム、地酒の詰め合わせセットを展示
新潟県五泉市は、チューリップ、お酒、水など多数展示
福島県喜多方市は、会津きたかた漆器を展示
岩手県二戸市は、日本酒「南部美人」と梅酒のセットを展示
岩手県西和賀町の湯田ヨーグルト。「おいしいよ」と事前に言われていたものの、口に入れたら「えっ!?」とビックリ仰天するほどのおいしさ!!災害復旧にもつながりますので、ぜひご寄付&ご賞味を。
山形県朝日町は、特産のワインとサクランボのパッケージを展示。キャラクター「桃色ウサヒ」をあしらったサクランボの包み紙は、折りたたむとサクランボの種入れになるところ、その折りたたみ方を知るために朝日町のホームページへ誘導すること、などがツボにはまりました。このあたりのしゃれっ気は、地域おこし協力隊のみなさんによる発案です。
山形県天童市は、障がい者の就労施設「ひまわり園」によるコーヒーとラ・フランスチョコバーのセット、宮城県多賀城市への支援につながるお酒「笑顔の架け橋」と世界一に選ばれた日本酒「出羽桜一路」のセットを展示
ふるさと納税の最新動向や先進事例を学ぶ「ふるさと納税東北サミット」が10日、天童市の天童ホテルで開かれた。各自治体の盛り上がりで寄付獲得の競争はある一方、全体規模からみた制度の活用実績は1%にも満たず、制度を生かした地域振興に大きな可能性があることが示された。
ポータルサイト「ふるさとチョイス」で各地の自治体を紹介しているトラストバンク(東京、須永珠代社長)と同市が主催し、東北では唯一の開催。須永社長は講演で「東北地方のサイト閲覧回数は、山形県に一極集中している」と説明。閲覧状況は山形65%、岩手10%、宮城8%などで、「寄付実績で突出した自治体があると、その県全体が引き上げられる」と述べた。また、「潜在的な市場規模は2兆4千億円だが、利用実績は0.7%程度で、ブームとも言えない状況。自治体の知恵を組み合わせれば、地域振興や課題解決としての活用はまだまだ広がる」と強調した。
先進事例では、昨年度に約14億円の寄付を集め全国1位になった長崎県平戸市が、先駆けとなった返礼品カタログの採用、ポイント制による返礼品の選択など、寄付者の利便性を優先した取り組みを紹介。寄付額が全国5位だった天童市は、地場産業の振興に主眼を置いた返礼品の選定、自然災害を受けた農家救済のための寄付募集などについて説明した。
隣県や県内自治体の担当者約80人が参加。11日は市内の農業関連施設などを視察する。
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