国が推し進める地方創生の手段の1つに、日本版DMOを設置し、観光を生かした地域づくりを推し進めることが挙げられています。その日本版DMOの1つとして、山形市・天童市・上山市の3者を中心とした組織が、今年度内の設立を目指し準備を進めています。
広域連携による観光振興に向けて、山形、天童、上山の各市で組織する「三市連携観光地域づくり推進協議会」は、地域資源を生かした旅行商品の企画、販売などを手掛ける株式会社DMC(デスティネーション・マネジメント・カンパニー)を2016年度中に設立する準備を進めている。周遊ルートの構築や食事、体験のサービスなど、地元同市のつながりがなければ提供できない独自の旅行商品を売り込んでいく。
従来の観光振興では、地元側は▽地域ごとの観光戦略の欠如▽キャンペーン頼りの販促▽宿泊施設中心の誘客▽温泉地の周辺が潤わない―などの課題があった。一方、大手旅行会社側は▽地域資源を深堀りした商品がない▽インターネット販売との競争激化▽人手不足―などが問題となっている。こうした状況を背景に、旅行商品が画一化し、観光客に魅力が伝わりづらいことにもつながっている。
DMCは地元のネットワークがなければ実現が難しい、仏閣での特別体験や隠れた名店の案内といった独自商品を企画するほか、グッズの手配や仕入れ、地元商店への精算などこれまで手薄だった部分もフォロー。自治体や記入期間の出資で会社化し、旅行商品を直接、顧客に販売する体制を整え、独立採算で運営していく。補助金に頼らないことで活動の幅が広がり、期限を切らずに事業を展開できるメリットがある。
今回の事業は、国土交通省から「日本版DMO(観光地域づくり推進法人)候補」に登録され、国の地方創生加速化交付金として1億円を受けた。
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