国が推し進める地方創生の手段の1つとして全国で動きが出てきている日本版DMO(Destination Management Organization)の設置について、山形市・天童市・上山市による組織がDMC(Destination Management Company)の役割について意見交換を行う会合を開催しました。
会合では、DMCの役割や現状の地域団体の取り組みなどについて意見交換が行われ、この事業の疑問点や課題について情報を共有しました。
山形・上山・天童三市連携観光地域づくり推進協議会(会長・佐藤孝弘山形市長)が、本年度中の設立を目指している株式会社DMC(デスティネーション・マネジメント・カンパニー)の事業展開などを考える会合が9日、山形市の山形商工会議所会館で開かれた。各担当者は「DMCとは何か?」といった基本的な疑問から、地域づくり活動を観光資源に発展させる方策などについて意見を交わした。
各自治体の代表、蔵王、上山、天童各温泉の旅館社長ら12人が出席。冒頭、DMCの役割が分かりづらいとの声が上がった。山形市の担当者は、旅行形態の主流が団体ツアーから個人旅行に移行する一方、旅行会社の人材不足などで地域の特色を掘り下げた旅行商品が企画できなくなっている現状を紹介。旅行者が求める「地域ならではの楽しさ」を観光客に届けるのがDMCで、株式会社にすることで旅行商品の販売利益を確保し、補助金に頼らない「地域で稼ぐ」仕組みづくりが基本理念にある―と説明した。
山形市高瀬の地域づくり団体「紅花の里たかせ元気会」の代表は、農業体験や山歩きツアーで宮城県から多くの旅行客を集めていることを報告。一方で「活動はほぼボランティアで、実費以外の参加費はもらいにくく、事業運営は赤字。送迎や宿泊施設の確保も難しく、開催回数や参加規模の拡大ができない」とした。これに対し、旅館の代表者は「そうした地域活動こそが観光資源。DMCが交通や宿泊、食事を企画して旅行商品として販売すれば、その利益を地域活動の対価として支払うことができる」とし、各地域のイベントが旅行商品のモデルケースになる可能性を示した。
会合は今後も継続し、次回は3市の温泉地などを巡って観光資源を探る。
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