平成28年8月3日・4日に天童温泉「ほほえみの宿 滝の湯」で開催された全国中学生選抜将棋選手権大会で日本一に輝き、プロ棋士への登竜門である奨励会への入会も果たした渡邉東英(わたなべ はるひで)さんが、NHKニュースやまがた6時の「interview この人に聞きたい」に出演しました。
- 片山智彦(かたやま ともひこ)アナウンサー
- さあ、続いては「インタビューこの人に聞きたい」のコーナーです。山形県に拠点を置いて活躍する経営者や文化人、そして山形県にゆかりのある方にこのスタジオに実際にお越しいただいて、お話を伺ってまいります。今夜は、このコーナー始まって最年少、天童の名産、こちらにゆかりのある方です。
今年8月、天童市で開かれた全国中学生選抜将棋選手権大会。この大会に山形県代表で出場し、全国の精鋭を破って中学生の将棋日本一に輝いたのが、中山町の中学1年生・渡邉東英(わたなべ はるひで)君です。渡邉君はその後、8月に日本将棋連盟のプロ棋士養成機関となっている新進棋士奨励会の入会試験を受けて、見事、合格しました。先月からはプロ棋士を目指して、月に2回ほど上京し、奨励会でライバルたちと対局を重ねています。
- 片山智彦アナウンサー
- ということで、今夜はスタジオに渡邉東英君に来てもらいました。こんばんは。
- 渡邉東英さん
- こんばんは。
- 片山智彦アナウンサー
- よろしくお願いします。
- 渡邉東英さん
- お願いします。
- 片山智彦アナウンサー
- 渡邉君いま中学校1年生で、きょうは中学校の授業が終わってからスタジオに来てもらいましたけど、将棋と学校の授業の両立って大変じゃないですか?
- 渡邉東英さん
- ああそうですね、やっぱり、ちょっと大変な、学校の勉強でも大変な時あるけど、でも基本的にやっぱり将棋も好きだし、将棋も自分で好きでやってるので、全然、両立も大変ではないですね、はい。
- 片山智彦アナウンサー
- 1日どのぐらい将棋の練習っていうのはするんですか?
- 渡邉東英さん
- そうですね、やっぱり、数多く、多くの時間でやった方がいいので、僕は3、4時間、4時間以上、毎日するようにしてます。
- 片山智彦アナウンサー
- 3、4時間ということは、だいたい何時から何時くらいまで将棋を…?
- 渡邉東英さん
- あぁ、そうですね、学校の勉強終えてからだから…。
- 片山智彦アナウンサー
- 学校の勉強おわってから?
- 渡邉東英さん
- はい、夜遅い、家の生活が終わってからだから、だいたい夜の7時、8時から12時とか、それぐらいまで。
- 片山智彦アナウンサー
- そんなに遅くまで。
- 渡邉東英さん
- はい。
- 片山智彦アナウンサー
- どうして、この将棋を始めたのかな?
- 渡邉東英さん
- えと、最初は、お母さんが、マグネットの将棋盤を買ってきて…。
- 片山智彦アナウンサー
- よく売ってる?
- 渡邉東英さん
- はい、そうですね。お父さんと両親がテレビゲームが嫌いで、あんまり全然まったく触れてなかったので、そうですね、それでお母さんがマグネットの将棋盤を買ってきた、っていうところから自然とはまっていったという感じです。
- 片山智彦アナウンサー
- 将棋の教室ではどんなことをしてるの?
- 渡邉東英さん
- 同じ年で、同じ力ぐらいので、(同じ)力の人で分かれていて、それでみんなでこう戦っていく、対局しているっていう感じですね、はい。
- 片山智彦アナウンサー
- そして、教える人もいる?
- 渡邉東英さん
- そうですね、指導する先生もいるし、そうですね、ぼくもずっと、入会した時からお世話になっている先生もいますね、はい。
- 片山智彦アナウンサー
- 実は、その将棋教室で渡邉君を小学校3年生の時から見てきたという日本将棋連盟天童支部の会長の大泉義美(おおいずみ よしみ)さんにインタビュー、お話を伺ってきました。
- 大泉義美・日本将棋連盟天童支部会長
- これは、対局したものを棋譜に、記録とったもので、対局したときの良い手、悪い手を書いてもらいます。例えば「9六歩が最善」とか、それから「玉頭からの攻めるのは危険だ」とか、「2四歩が明快」とか。3年生で書くというのは、おそらくなかなかいないと思います。(場所を移して)支部の図書ですね。これ古い本、近代将棋と週刊将棋とあるんですけども、これを逐一ね、全部おそらく読んでいたと思いますよ。借りてって、また持ってきては借りて、持ってきては借りてね、そういう努力を重ねたと思いますね。
- 片山智彦アナウンサー
- はい、ということでしたけれども、そうとう、この大泉さんも渡邉君を褒めていました。いまどうでしたか、見てみて。
- 渡邉東英さん
- そうですね、なんかそういう風にはそこまで言われてなかったけど、こうなって、そういう風に言われると、すごく嬉しいですね。
- 片山智彦アナウンサー
- 実際に家に僕がお邪魔した時も、ここもそうだけど、棋譜を見ながら再現していくシーンもあったけど、いったい自分が指す局っていうのは、だいたい1日何局ぐらい?
- 渡邉東英さん
- えっと、自分が指すのは、そうですね1日10局、20局…。
- 片山智彦アナウンサー
- そんなに?!
- 渡邉東英さん
- そうですね。勉強して、自分が指すっていうのは、ちとあんまりやってないんですけど、勉強するっていうのは、よ~くするようにしています。
- 片山智彦アナウンサー
- 将棋盤に向かうだけじゃなくて、パソコンも…。
- 渡邉東英さん
- あ、はい。
- 片山智彦アナウンサー
- 言わば最新のITを活用してやってるということで、ま、古いものからも学ぶし、パソコンからも…。
- 渡邉東英さん
- はい。
- 片山智彦アナウンサー
- パソコンを使った練習もしていると。これ、どういうことをしているの?
- 渡邉東英さん
- コンピューターも進化して強くなってきているし、情報もすごく、いち早く分かるように、昔の時代とは違って、やっぱりパソコンも使って勉強してますね。
- 片山智彦アナウンサー
- いよいよ奨励会。合格をして、ま、いわば全国から精鋭たちが集まってくる。いま月に2回、東京にも行って、いわば全国の精鋭たちと将棋を指しているけど、奨励会っていうその場所は、どんな感じのところでしたか?
- 渡邉東英さん
- そうですね、やっぱり全国から強い、その、強い、そうですね僕と同じ年ぐらいの人が、みんな僕よりも強い人もいる訳だし、みんな強い人が集まって、やっぱプロ棋士を目指して戦っている訳で、すごい命がけで将棋を指しているから、すごくほんと厳しい世界で、厳しいすごい、厳しい空気で、怖いところですね。
- 片山智彦アナウンサー
- 怖い!
- 渡邉東英さん
- ほんとに…。
- 片山智彦アナウンサー
- どんな雰囲気?
- 渡邉東英さん
- ほんと、空気も静かで、何も音も聞こえないぐらいで。でも、ほんと、にらめ合ってるという感じで、ほんと、そうですね、そういう、ほんと、あの~、他の人も、さっきも言ったんですけど、みんな命を懸けて戦っているから、ほんとに厳しい顔をしてやってて、ほんと僕がアマチュアの時だと考えられないような対局室ですね。
- 片山智彦アナウンサー
- あらためて、みなさんは奨励会のシステムをご存じないかもしれませんが、奨励会のシステムというのをご紹介しましょう。はい、このようになっていまして、6級から1級があって初段、二段、三段、そして四段になるとプロ。で、いま渡邉君は6級、ということなんですけど、6級とはいってもアマチュアでは四段という腕前、ということで都道府県ではトップクラスということで、じゃあ次の5級に上がるにはどうしたらいいかというと、6連勝する、あるいは9勝3敗など、7割以上の勝率などの成績が必要ということ、しかも年齢制限がありまして、原則として26歳までに四段までに上がらないと退会ということで、まぁ「厳しいなぁ」という印象もあるんですけれども、この険しい道のりを1つ1つ上がっていくっていうのは、どういう覚悟というか、気持ちでいま…?
- 渡邉東英さん
- 負けることも多くなってくるだろうし、やっぱ昇級、簡単に「どんどん勝ち上がりたいです」とか「早くプロになりたいです」とは言ってたんですけど、ほんとに今こう対局して、負けてくると、「すごい大変なんだぁ」というのが、すごく分かってきますね。
- 片山智彦アナウンサー
- そんな渡邉君に、応援メッセージも届いているんです。ぜひ、覧ください。
- 日本将棋連盟天童支部 大泉義美 会長
- 物静かで、内に秘めた闘志というか、それは素晴らしいと思います。これからは厳しい厳しい戦い、奨励会ということで、なりますけども、これまでの気持ちでもって当たれば、絶対大丈夫だと思います。
- 将棋教室の友人・吉田貴如さん
- みるみる強くなってって、気付いた時には追い抜かされてました。奨励会いろいろ厳しいですけど、山形の意地を見せて頑張ってください。
- 将棋教室で指導している日本将棋連盟棋士・熊坂学さん
- もともと終盤力は力をかなり持っていますけども、え~、まっ、これからまぁ、中盤戦においてですね、いろんな引き出しをたくさん増やすことによって、才能が伸びていく感じですかね。必ず壁っていうのは存在しますんで、壁にぶち当たった時が勝負のとこだと思いますんでね、まずはね、まずは1年生ですからね、しっかりと自分の将棋を指してほしいと思いますね。
- 父親・渡邉武弘さん
- ま、大変な道のりだと思いますけれども、本人が納得するように、がんばってくれたらいいな、と思っております。くじけないで、強い意志をもって頑張ってください。
- 片山智彦アナウンサー
- はい、ということで、お父さんとか指導してくれる人とか友達もいましたけれども、どうでしたか、いまのメッセージは?
- 渡邉東英さん
- そうですね、すごく嬉しいですね。でも、あんまりそういう風に、特にお父さんとか友達からはそんなこと言われること、普段言われることないですけど、そうですね、そういう風に言ってくれる応援してくれると、すごくやっぱり頑張んないといけないなと思うし、そうですね、もっと頑張って…。もっと頑張りたいと思います。すごく嬉しかったです。
- 片山智彦アナウンサー
- さ、ずばり将来の目標というのは、どういったところにありますか?
- 渡邉東英さん
- そうですね、やっぱり、プロ棋士になることですね。そして、そうですね、ずっと応援してもらってて、いまも応援してもらっているので、早く頑張ってどんどん上がっていけるようになりたいですね。もっと頑張って勉強したいです。
- 片山智彦アナウンサー
- 今夜ありがとうございました。
- 渡邉東英さん
- ありがとうございました。
- 片山智彦アナウンサー
- 今夜はプロ棋士を目指しています、中山町の中学校1年生・渡邉東英君にお越しいただきました。ありがとうございました。
- 渡邉東英さん
- ありがとうございました。
(NHKニュース2016年10月18日より)
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- ■天童のニュース:将棋
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