山形県天童市の出羽桜酒造が、ノーベル医学生理学賞に選ばれた東京工業大学の大隅良典(おおすみ よしのり)栄誉教授に、ノーベル賞受賞記念の限定ラベル「一路(いちろ)」を提供しました。これは、大隅良典栄誉教授が受賞するきっかけとなった「酵母」にちなんで、縁のある出羽桜酒造の仲野益美(なかの ますみ)社長へ打診があったことを受けてのものです。
約1か月前、大隅良典栄誉教授がノーベル賞を受賞し、日本中が湧きましたが、その世界的研究者と親交のある人が県内にいました。2人を繋いでいたのは「酵母」です。
先月3日、今年のノーベル医学生理学賞の受賞者が発表され、東京工業大学の大隅良典栄誉教授が選ばれました。受賞理由は「オートファジーの仕組みの発見」です。微生物の酵母を研究材料に、細胞が自らのタンパク質をアミノ酸に分解し、栄養源として利用する仕組みを明らかにしました。その大隅教授は、おととい安倍総理と面会し、改めて祝福を受けました。会談の中で、大隅教授が受賞の記念として総理にプレゼントしたのが、1本の日本酒でした。
大隅教授から安部総理にプレゼントされた日本酒、実は天童市の酒蔵・出羽桜酒造の日本酒なんです。
山形の酒蔵に大隅教授の関係者から依頼が来たのは、先月11日の事でした。「“酵母”と言えば日本酒」「受賞の記念に関係者に贈る日本酒を提供して欲しい」そんな依頼でした。
実は出羽桜酒造の仲野益美社長は、お酒を作る傍ら、10年以上、東京大学大学院の非常勤講師として発酵醸造学を教えています。一方、大隈教授は東京大学の出身で、仲野さんは共通の親しい教授を通じて、7、8年前に食事を共にする機会がありました。酵母を研究材料にする大隈教授と酒づくりで酵母を扱う仲野さん、酒を酌み交わしながら酵母について語り合った事もありました。
こちらが今回、大隈教授に提供した日本酒です。大隈教授のサインとオートファジーを表すイラストを組み合わせたラベルのデザインは、東京工業大が担当し、出羽桜酒造で大きさや配置を決めました。また、銘柄は2008年の酒の世界大会で最高賞に輝いた「出羽桜・一路」を選びました。
出羽桜酒造は安倍総理に贈られたものも含めて、これまで20本を提供しています。大隈教授は研究でお世話になった人にプレゼントする他、授賞式が行われるスウェーデンのストックホルムにも持っていくということです。
仲野さんは、これをきっかけに山形に足を運んでもらいたい、と話していました。
仲野さんが、大隅教授と酒を飲んだ時、同席していた東大の教授の皆さんは、大隅先生は必ずノーベル賞を獲る、とその時から話していたそうです。
しばらくは忙しいと思いますが、落ち着いたら山形に来てほしいですね。
前の日へ... | 今月の見出しへ... | 次の日へ... |