天童市市制施行60周年記念イベントとして10月14日(日)にイオンモール天童で開催される「二千局盤来」のプレイベントが、9月8日(土)にイオンモール天童グリーンコートで開催されました。「二千局盤来」は、将棋の同時対局者数の世界記録を目指すことで、「将棋のまち天童」を全国に発信するとともに、市民の将棋への愛着や郷土愛の醸成が期待されるイベントです。
午前10時からは、山形県酒田市出身のプロ棋士・阿部健治郎(あべ けんじろう)七段と新潟県柏崎市出身の近藤正和(こんどう まさかず)六段による指導対局、午後からはトークショーと二十面指しが行われました。
会場内には「二千局盤来」の参加者受付コーナーもあります
指導対局に臨む阿部健治郎(あべ けんじろう)七段
指導対局に臨む近藤正和(こんどう まさかず)六段
「どうぶつしょうぎ」や映画「泣き虫しょったんの奇跡」のコーナーもあります
人間将棋のときも楽しめた「デカ5五将棋」も
(以下、トークショーの概要ですが、録音していたわけではないので、一部間違っているかもしれません。ご了承ください。)
奨励会に入るまでは「お客さん扱い」みたいな感じのところは、確かにある。入ってからは、お客さん扱いしなくなる。子どもでも、大人扱い。それまでは「君、強いよね」とか言うけど。
自分は、将棋の強さよりも「言葉遣い・身だしなみ・時間厳守」の重要性を教えている。対局が10時から始まるとしたら、10分前には会場に着いてなければならない。タイトル戦とかになれば、スポンサーの社長とか連盟の役員とか、ずっと先輩の方々が対局会場にいる。自分たちの知らない人たちばかりだろうけど、その人たちは君たちのことを知っている。そういう方々に失礼のないようにしなければならない。
また、将棋界全体に迷惑をかけるようなことはするな、と言っている。師匠が頭を下げるうちはマシ、会長が頭を下げなければならないようなことはしてはいけない。
時間厳守は大事。自分が奨励会のときは、遅刻したら休会、ということもあった。
子どもを取り巻く将棋の環境は、今が最盛期だと思う。昔は、いまのように子どもの将棋大会がなかった。イオンモールさんでも将棋大会を開催している。いまが一番多い。
永山絢斗さんが演じている「進藤和正」は自分の役。ホントはもっと厳しいことを言っていた(笑)映画で見られる程度に抑えてある(笑)自分の方が年下だけど、奨励会には先に入ってるので。瀬川晶司(せがわ しょうじ)さんには、「もう奨励会から抜けたんだから、かたぎの世界でまっとうに生きろよ」と思った(笑)
将棋の映画というと棋士は試写会で見ることが多いんですが、自分は行けなくて…。今日のイベントのために、昨日イオンシネマ天童で見ました!酒田から近いイオンシネマ三川で見ようと思ったんですが、まだ上映してなくて。
映画ですが、シンプルで見やすかったです。どうしても詰め込み過ぎてしまうものが多いのですが、この映画では詰め込み過ぎてなくて、奨励会とか将棋の仕組みが分からなくても、スッと入って来る。自分は原作も読んでるんですが、原作もオススメです。2010年に出た作品なのでちょっと古い作品になってしまってますが、ぜひ読んで欲しいです。
奨励会に入会しても、プロ棋士になれるのは10人に1人ぐらい。瀬川さんがプロになれなかったのは、羽生さんたちが強かったから。羽生さんは「昇り龍」のような「光」の存在。「影」の人たちもたくさんいた。瀬川さんの役は松田龍平さんが演じているが、首に手をやる仕草とか、困ったときの仕草とか、そっくりだった。さすが役者さんだと思った。
自分はいま酒田で活動しているが、その前は東京にいた。昔と違って、今は地方にいるデメリットがなくなってきた。インターネットが高速になり、定額で利用できる。昔は速度も遅くて、使った分だけお金がかかった。新幹線もあって、東京まですぐに行ける。
将棋に触れる時間が長い方が、絶対的に有利。将棋は、やればやるほど強くなれる。将棋をする時間を長くする、大切にすることが大事。将棋は小さいころからやった方が、強くなる。
将棋は「努力・才能・運」と言われた。ただ、「将棋の才能」は、将棋が好きかどうか、負けても敗因を研究できるかどうか、だと思う。「運」は、努力をしたことで将棋の神様が舞い降りる、ということだと思う。
今はAIとかパソコンが普及しているが、自分が奨励会のころは一切なかった。青焼き機?青い紙で出てくるコピー機があったので、大山康晴さんの棋譜をコピーして持ち帰って勉強したりした。自分よりも先輩の方たちはコピー機さえなかったので、棋譜を手で写して、それで駒を並べて研究していた。
「運」は、「拾う神あり」だと思っている。みんな天才じゃない。天才だと思ったのは羽生さんだけだ。あとはみんな努力した。努力に勝るものはない。
プロ棋士に尋ねると「歩」と答える人が多いと思う。1つずつ進むというところが努力をイメージさせるということで好まれている。自分は「玉」と「金」の使い方が研究テーマ。
「角」。中央に置くと4×4で16マス動けるが、隅に置くと動ける場所が限られる。そこが好き。(飛車が好きという質問者に対して)「飛車」だと、どこにおいても必ず16マス動ける。「角」だとそれができない。
対局するときに「飛車角落ち」があるが、「飛車落ち」が「角落ち」に比べて難しいのは、そこに理由があると思う。飛車はどこにおいても縦8マス・横8マス動くことができるが、角は動ける場所が限られる。
将棋をやる人は、こういう計算がすぐにできる。将棋をすると算数が強くなる。
自分は勉強はあまり得意ではないが、記憶力はある。さきほどの指導対局の盤面も、最初から並べ直していける。棋士は、記憶力が良くないと厳しい。棋士は、文系の人が多い印象。
現役の奨励会員は、勉強と将棋の両立ができてる人が多い。自分の教え子で、結果的に将棋の道を辞めてしまったが、その人は医学部に入学した。お母さんからは「将棋をやっていたおかげ」と言われた。「将棋のおかけで、最後まであきらめずに勉強できた」と。将棋は、勝っても負けても自分の責任。負けても人のせいにできない。負けても師匠のせいにするな、と言っている(笑)すべては自分の責任なので、自然と責任感がついてくる。
(社会が好き、という質問者に対して)自分は地理が好きだった。
地理と言えば、自分は毎日グーグルマップを見ています(仕事上?)
将棋も勉強も自分の責任。テストが悪くてもお母さんのせいにしないで、がんばって。将棋をしてる、って言ったら評定上がらないのかな?(笑)
トークショーの最後は大じゃんけん大会!じゃんけんする阿部健治郎 七段
じゃんけんする近藤正和 六段
賞品の映画「泣き虫しょったんの奇跡」チケットは、勝ち残った小学生2人へ
最後に阿部健治郎 七段からありがたいお言葉「将棋のまちは全国各地にあるが、天童は間違いなく一番!」
阿部健治郎 七段は、終始ニコニコしながらトークされていらっしゃいました
トークショー開始直前に2階から眺めた様子
イオンモール天童にある休憩用のテーブルは将棋盤になってます!
イオンモール天童は、外壁が羽生善治 永世七冠の「左馬」、休憩テーブルが将棋盤など、天童らしさ満点!
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