天童市の東北パイオニア株式会社を子会社にもつパイオニア株式会社が、香港の投資ファンドから支援を受ける見通しになりました。主力のカー・ナビゲーション事業で不振が続き、経営を圧迫しています。
経営不振のパイオニアが、香港を本拠とする投資ファンドの「ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア」から数百億円規模の融資を受ける方向で調整に入ったことが11日、分かった。今月下旬に133億円の借入金の返済期限が迫っており、返済にめどを付け、手元資金を厚くするのが狙い。近く発表したい考えだ。主力取引銀行が求めていた抜本的な再建策は改めて検討する。
パイオニアは12月にも44億円を返済する必要があり、ベアリングの資金支援を受ける方向となった。関係者によると、ベアリングはデジタル地図を手掛ける子会社を担保に取る予定だ。有志が焦げ付く恐れがある場合、貸出金を株式に切り替える「債権の株式化」などにより、パイオニアの経営を主導することも視野に入れている。
パイオニアは主力であるカーナビ事業の立て直しのめどが立っておらず、融資は「時間稼ぎにすぎない」(市場関係者)との声は多い。大規模なリストラに向けた資本調達が欠かせないとの見方が強まっている。
パイオニアは2018年3月期まで2年連続で連結純損益の赤字を計上。18年4〜6月期決算短信に「継続企業の前提に重要な疑義が存在している」注記した。19年3月期の純損益予想を公表していないが、大幅な赤字との見方が強い。
パイオニアの支援を巡っては、出資受け入れや同業他社との資本業務提携など複数案が浮上。だが、カーナビ事業が振るわないため、現時点ではまとまっていない。かつてのオーディオ名門企業の経営は迷走している。
東北パイオニア(天童市)を子会社に持つ同社は今月7日、孫会社に当たる「東北パイオニアEG」(同)の全株式を、トヨタ自動車グループの部品大手デンソー(愛知県)に売却すると発表している。
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