天童市の山形県総合運動公園特設駐車場に建設が計画されているモンテディオ山形新スタジアムについて、株式会社モンテディオ山形の相田健太郎(あいた けんたろう)社長と新関茂(にいぜき しげる)天童市長が、3月17日に吉村美栄子(よしむら みえこ)山形県知事へ要望書を提出した件が、読売新聞で報道されました。
要望書提出の翌日に報道した山形新聞は「建設費の約6割を確保できる見通し」と肯定的・前向きな姿勢で報道しているのに対して、読売新聞では「建設費150億円調達苦慮」と否定的・うしろ向きな姿勢で報道している印象を受けました。
サッカーJ2・モンテディオ山形の新たな本拠地として今年秋の着工を予定している新スタジアムを巡り、建設費が当初予定から大幅に増加し150億円超となり、クラブ運営会社や天童市が苦慮している。民間企業からの出資などで約120億円の資金を調達したとするが、物価上昇を背景に台所事情は厳しい。頼みとしている県の追加支援は得られるか不透明だ。
新スタジアムは、天童市のNDソフトスタジアム山形の南側駐車場に建設する。収容人数約1万5000人を想定し、クラブ運営会社など4社が出資した新会社が建設と運営を担う「民設民営」のスタジアムになる。
老朽化が進むNDスタは陸上トラック併設の競技場でサッカー専用ではない上、屋根についてはJリーグのクラブライセンス甲府規則も満たしておらず改善を求められており、長年新設が検討されてきた。クラブ運営会社と新会社の社長を務める相田健太郎氏は新施設について「サッカーの試合日以外も稼働するスタジアムを作る」とし、イベントの誘致や医療機関の併設、災害時の避難所昨日などを盛り込むとしている。
だがいわゆる物流の「2024年問題」による人手不足から着工が遅れ、開業予定も当初の27年7月から、28年夏頃へと先送りとなっている。人件費や資材の値上げも相次ぎ、23年の計画当初約100億円超としていた建設費は、円安や人手不足を受け約158億円(税別)にまで膨らんだ。
相田社長によると、県内外の複数の民間企業から支援を取り付け、当初の予定金額を超える約120億円はすでにめどがついてる。
天童市も支援に乗り出し、1月から企業版ふるさと納税を募り、3月14日現在で約2500万円が集まった。ふるさと納税を行った生コンクリート製造販売などを手がける「みつわ」(山形市)の赤塚信昭社長(57)は「クラブを応援したい気持ちと、新スタジアム建設を機に県全体が盛り上がることを期待した」と話す。今後多くの企業への波及を見込むが、今のところ効果は限定的だ。
運営会社と天童市は、県への協力を求めている。期待するのは、各地のにぎわいを創出する事業などに充てられる国の「新しい地方経済・生活環境創生交付金」の共同申請。都道府県で最大15億円、市区町村では最大10億円が交付されるもので、3月17日には、天童市の新関茂市長と相田社長が県庁を訪れ、共同申請などの検討を求める要望書を吉村知事に提出した。
だが、吉村知事は「資金計画とか事業計画をお示しいただいてから検討していきたい。ネックは資金計画なのかなと思う」と、疑問を投げかけた。県は建設用地を貸し出すことがすでに決まっている。
共同申請に向けた交渉は、今後本格化していくとみられる。交付金を得たとしてもさらに資金調達が必要な状態だが、相田社長は、「追加出資や融資も含め引き続き検討していく」と話し、秋の着工に自信をのぞかせている。
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