1. ホーチミンへの道
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[バイクと自転車の群れ]
ホーチミンで、信号が青になるのをいまかいまかと待っているバイクと自転車の群れ
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 この年齢(20代後半)になって外国に行ったことがないのは、めずらしいとよく言われていた。わたしは、外国への興味が全くわかない女の子であった。 きっとこれからも外国には行かないだろうと思っていたし、特に行きたくもなかった。

 あるとき、偶然見てしまった映画の予告がベトナムを舞台にしたものであり、怪しげな美しさを放っていた。 その映画は在フランスのベトナム人、トランアンユン監督による「シクロ」。以前にベネチア国際映画グランプリを 受賞したものである。ベトナムの簡易タクシー「シクロ」として働く主人公、ヤクザ、そして美しい姉の3人を取り巻く人間模様をホーチミンを舞台にして展開されるものだ。

 映画の予告に魅かれる。そんな経験がないわたしは、これも縁ということで、比較的マイナーな作品「シクロ」に足を運んだのであった。お客はやはりまばらであった。上映中、あまりのどぎつさゆえか、女性2名が途中で出ていってしまった。

 肝心なわたしの方はどうだったかと言うと、わたしはこの映画を見て今までにない感動を経験したのだ。色彩感あふれる美しい映像、すばらしい音楽、役者の個性...。映画とは監督と役者との感性のぶつかりあいなのだと理解した。 この驚きは高校生の時初めて、太宰治の「人間失格」を読んだ時に感じたあの感覚にとても近い。

 「こういうのがあるのか...」

 映画を見た次の日の夜、布団の中でパンフレットを見ながら映画に圧倒されっぱなしの自分を感じていた。その後、この映画のプロモーションをしているホームページへアクセス。45分以上もかかって、たった1分少々の「シクロ 予告編」をダウンロードした。それから何十回も繰り返し見ては恍惚の表情を浮かべていた(に違いない)。そのムービーを自分のパソコンのスクリーンセーバーに取り込み、またまた魅せられる。その映画はきっとベトナムでなければ、そしてホーチミンシティでなければなりたたなかった映画だ。

 「そうだ。行こう!」

 次の日、さっそく本屋に「ベトナム語早分かり」を買いに走った。 とにもかくにも行くことに決めた。 行くことを決めただけなのにとっても嬉しかった。興奮した。 まるで、子供の頃にあこがれのスターに会える日を心待ちにしたようなそんな感じであった。
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