3. 街を歩く
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[バス停]
左手に見えるのはバス停。
屋根付きで、壁にはとてもカラフルな絵が書いてあります。

 街を歩くのはとっても疲れる。それは、日本のようにボケーっと歩くことができないから。人々の目線、スリの恐れ、自転車、バイク、車の群れ。歩道の上に直接氷を置いて割る少年。屋台のお料理を食べるおじさん。ロータリーに座って絡み合う恋人達。どんどん体は熱くなり、じっとりと汗が滲んでくる。そして輪タク、シクロの勧誘。

 街はうねりながらわたしを包んでいく。

 ホーチミンシティの信号はあくまでも目安。そのうえ、信号がきちんと稼働していないこともある。でも、動じずにゆっくりゆっくり歩く。そうすると自転車、バイク、車の群れは自分を避けて横切っていく。

 ところで、ドンコイ通りは観光ガイドで必ず登場し、海外旅行者がまず訪れるショッピングエリアである。ベトナムの中でおしゃれで練された雰囲気を醸し出すエリアだと想像していた。しかし、実際はかなり雑然としており、道のコンクリートが崩れてたり、工事中で建物が覆われたりしていた。想像していたこととは違ったのでぼう然としてしまった。


 スリの手口をひとつ。
 すげがさ(ノンラー)をかぶったおばあさんが子供を連れて歩いていた。わたしに近づいた彼女はすげがさを逆さまにして目の前に持ってくる。そしてそのまま相手にぶつかって、すげがさに隠れた右手を相手の胸のポケットへ。あれっ?と思ってももう遅いのであった。古典的なテクニックという感じがするのだけども、行動の素早さはさすが。被害がレシートとハンカチだけでよかった。ベトナムでは、何か悪いことがあったとき、ハンカチと櫛を捨てるとのこと。結果オーライ。くれぐれも人混みには注意しよう。

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