「ふるさと納税」で全国トップクラスの山形県天童市が、新しい置き駒を製作するためにクラウドファンディングで寄附を募ることを決めました。クラウドファンディングとは、特定の目的のために広く寄附を募る手法で、通常の「ふるさと納税」と比べて、より意識の高い方々からの寄附を期待することができます。
寄附の目標額は1000万円で、全額が新しい置き駒のデザイン経費に充てられます。デザイナーには、エンツォフェラーリや北陸新幹線(E7系)などを手掛けた山形市出身の世界的工業デザイナーである奥山清行(おくやま きよゆき)氏を念頭においています。
天童市はインターネットで不特定多数の人から資金を調達する「クラウドファンディング」の手法で新しい将棋駒をかたどった置物「置き駒」の製作プロジェクトに取り組む。好調なふるさと納税の対象事業とし、目標額は1000万円。斬新な置き駒を生み出すためのデザイン料に充てる。
市はふるさと納税の寄付者に対し、返礼品だけでなく特典も添えて送っている。将棋駒ストラップは特典の一つで、製作が追い付かず一時休止したほどだ。市長公室長は「ストラップに使用するのは彫り駒で、彫師を中心に将棋駒業界に活気が出ている。一方で、書き師や土産店には波及していない」と分析。ふるさと納税の恩恵が広く行き渡るようにと、新デザインの置き駒(書き駒)製作に乗り出すことにした。
クラウドファンディングの手法を取ることについて、市は寄付の活用先を明確にすることにより、意識の高い寄付者が集まることが期待できるほか、返礼品ありきではなく、ふるさと納税の本来の趣旨に沿っているとする。全国的に広がりを見せており、県内でも寒河江市が昨年、慈恩寺に液体が掛けられた事件を受け、防犯対策強化のためのプロジェクトを立ち上げた事例がある。
デザインの発注先は、山形市出身の工業デザイナー奥山清行さんが経営する会社を予定。▽五角形の角度はどうするか▽地元企業の製品を活用できないか―といったことを含め、県将棋駒協同組合とも協議を行って検討を進める。新作を返礼品メニューに加えるほか、デザイン使用権を組合に認めて駒業界の振興に役立てる考えだ。
市議会9月定位会にデザインの委託料を盛り込んだ補正予算を提案。年内にデザインを決定し、来年3月までの完成を目指す。
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