今年の「人間将棋」では、これまでにないアイデアがいくつか採用されました。その主なところは、「人間将棋」というイベントを戦国時代の合戦に見立てたシナリオを導入したということでしょう。

　これまでは「人間将棋」をメインにして、和太鼓や踊りといった郷土芸能の披露もおこなわれてきました。それを今年は、イベント全体を1つの物語に見立てて、あたかも戦国時代における合戦絵巻の1シーンとしてそれぞれのイベントを意味づけています。

　このシナリオに乗っ取って、初日には「戦勝祈願」が舞鶴山の西側にある建勲神社（たけいさおじんじゃ・通称：けんくんじんじゃ）でおこなわれました。建勲神社は織田信長（おだ・のぶなが）ゆかりの神社として地元で最も有名な神社の1つとされています。

　「戦勝祈願」については、パンフレットに「両軍の駒武者が参加」と紹介されていましたので、さぞかし勇壮にとりおこなわれるのだろうと期待していました。しかし、実際には対局をおこなう女流プロ棋士と両軍の王将、そして将軍が参加しただけの寂しいものでした。来年はぜひほかの駒武者とともに大勢でとりおこなわれる姿をみたいものです。

神主さんをはさんで、赤い衣装を身にまとっているのが清水市代（しみず・いちよ）女流王将・倉敷藤花、そして青い衣装を身にまとっているのが船戸陽子（ふなと・ようこ）女流初段です。両端に甲冑を身にまとって並んでいるかたは、一般公募で選ばれた両軍の王将の方々です。